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セットアップオフィスと居抜き物件を比較!初期費用を抑える最適な選び方

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オフィス移転の初期費用を最小化する手段として、「セットアップオフィス」と「居抜き物件」のどちらを選択すべきか苦慮されている担当者様も多いでしょう。

実は、最適な選択は企業の成長フェーズや経営上の優先順位によって大きく異なります。本記事では、両者のコスト構造や具体的なメリット・デメリットを徹底比較し、貴社が自信を持って判断を下せるよう詳しく解説します。「移転までのスピード」を優先すべきか、それとも「初期投資の絶対額」を抑えるべきか。その明確な判断軸を提示し、最適なオフィス移転の実現をサポートします。

セットアップオフィスと居抜きオフィス、どこが違う?

セットアップオフィスと居抜きオフィスは、共に初期費用を抑制できる手段として注目されていますが、その特性やコスト構造は大きく異なります。

入居までのリードタイムはもちろん、初期費用の内訳、さらには退去時の原状回復義務に至るまで、両者は対照的なメリット・デメリットを抱えています。一見似ているようでも、その実態を正確に把握しなければ、入居後のミスマッチを招きかねません。貴社の経営戦略に合致する「真に最適な選択」をするためには、これら主要項目の差異を深く理解しておくことが肝要です。

貸主が準備する範囲で決まる入居スピード

セットアップオフィスは、貸主側がオフィス環境をあらかじめパッケージ化して整備するため、内装工事や家具の選定、通信インフラの手配がすべて完了した状態で提供されます。そのため、契約締結からわずか数週間での入居が可能となり、事業開始までのリードタイムを劇的に短縮できるのが最大の特長です。

一方、居抜きオフィスは前入居者の設備をそのまま承継する形態であるため、入居時期やコストがその「現状」に大きく左右されます。前テナントの退去と新テナントの入居タイミングを調整する必要があるほか、設備の修繕や自社仕様への更新が必要な場合は、稼働までに1~3ヶ月程度の期間を要するケースも珍しくありません。

オフィス形態 入居までの期間 貸主準備の範囲
セットアップオフィス 契約後数週間 内装・家具・設備すべて完備
居抜きオフィス 1~3ヶ月程度 前テナント設備の状態次第

貸主が準備する範囲が広いセットアップオフィスは、入居後すぐに業務を開始でき、事業の立ち上げや拡張時に重要な時間的余裕を生み出せます。

初期費用の内訳が大きく変わる仕組み

セットアップオフィス、居抜き物件、そして通常オフィスでは、初期費用の構成要素が根本から異なります。

セットアップオフィスは、内装工事費や什器備品代をすべて貸主側が先行投資し、そのコストを月々の賃料で回収する仕組みです。そのため、入居時の負担は敷金や仲介手数料といった契約関連費用のみに限定され、初期投資を最小限に抑えられます。

一方、居抜き物件は前テナントの資産を継承するため、一見すると追加コストは不要に思えます。しかし、自社の業務形態に合わせた部分的な改修や、老朽化した設備の更新が必要になるケースも多く、結果として予期せぬ追加費用が発生しやすい点には注意が必要です。

通常の賃貸オフィス(スケルトン物件)は、借主がすべての設備投資を担う形態です。敷金・礼金などの契約諸費用に加え、内装工事、家具の調達、通信インフラの整備といった多額の「資産形成」費用が求められます。

どこまで手を加えるかにもよりますが、一般的に内装費用は坪単価15〜50万円ほどが目安とされ、初期投資額は3つの選択肢の中で最も大きくなります。自社のキャッシュフローと入居希望時期を照らし合わせ、この「先行投資」が長期的な事業戦略に見合うものか、慎重に判断することが重要です。

原状回復時の負担が正反対になる理由

セットアップオフィスと居抜きオフィスでは、退去時の「原状回復義務」の範囲が大きく異なります。

セットアップオフィスは貸主が設備を保有しているため、入居時の状態で返却することが基本となります。貸主資産である内装や什器の撤去は不要なケースがほとんどであり、退去時の追加工事費用を大幅に抑制できます。

一方、居抜きオフィスは前テナントの設備と「原状回復義務」を丸ごと引き継ぐ契約が一般的です。そのため退去時には、自社が追加した設備だけでなく、前テナントが残した造作までの撤去を求められ、想定外の高額な費用が発生するリスクを孕んでいます。入居時のコストが低くても、出口戦略を含めたトータルコストではセットアップオフィスの方が経済合理性が高いケースも少なくありません。

移転時間と初期投資、あなたの会社はどちらを重視?

オフィス移転を検討する際、最も重要な判断基準となるのが「稼働までのスピード」と「初期投資の抑制」のどちらを優先するかという点です。

セットアップオフィスであれば、契約からわずか2〜3週間での即時開業が可能ですが、居抜き物件の場合は追加工事の有無によって数ヶ月のリードタイムを要するリスクがあります。各形態のメリット・デメリットを自社の事業計画と照らし合わせ、現在の成長フェーズにおいて真に最適な選択肢を見極めていきましょう。

数週間で開業か、数ヶ月待ちかの分かれ道

オフィス移転の成否を分ける決定的な要因の一つが、稼働までの「リードタイム」です。

セットアップオフィスは、貸主側で入居準備が完結しているため、契約締結後わずか2〜3週間という短期間で業務を開始できます。対して居抜き物件は、前テナントの設備を承継した上で自社ニーズに合わせた追加工事や補修を行う必要があるため、一般的には1〜3ヶ月程度の準備期間を要します。

事業の始動に緊急性を要するフェーズであればセットアップオフィスを、準備期間を許容してでも初期投資の絶対額を抑えたいのであれば居抜き物件を。時間と資金のどちらを優先資産と捉えるかによって、選択すべき最適解は自ずと決まります。

居抜き物件で追加工事が必要になるケース

居抜き物件は既存設備を継承できるため、工期短縮が期待できる一方で、前テナントの利用状況に起因する「不測の追加工事」には注意が必要です。

特に頻出する課題が、電気容量の不足です。業種の変更に伴いOA機器や空調負荷が増大する場合、幹線工事を含む電気容量の増設が必須となり、当初の予算を大幅に超過するリスクがあります。また、既存の間仕切り(パーティション)が自社のレイアウトに合致しない場合も、解体および再構築の費用が嵩みます。さらに、床材や壁紙といった内装の劣化やデザインの不一致により、全面的な張り替えが必要になれば、コストメリットは一気に損なわれます。こうした事態を避けるためには、契約前に設備インフラと内装コンディションの精緻な調査(デューデリジェンス)を行うことが不可欠です。

【実例に学ぶ】居抜きをベースに「機能性」と「ブランド」を両立させた拠点構築

居抜き物件の懸念点である「レイアウトの不適合」を、緻密な設計で克服したのがベースフード株式会社様の事例です。 同社は、貸主の元オフィスという既存のデザインをベースにしながらも、食品メーカーとして不可欠な「ラボ(開発室)」を新設。居抜きのコストメリットを享受しつつ、自社のコア業務に最適化させるための「ピンポイントな投資」を行いました。 既存の内装が持つ質感(コンクリートの梁やフローリング)を活かすことで、一から作り上げるよりもコストを抑えつつ、スタートアップらしいアイデンティティと実用的な機能を高次元で融合させています。

オフィス訪問:ベースフード株式会社様

セットアップの賃料上乗せを納得できる判断軸

セットアップオフィスの賃料上乗せ分が適正かどうかを判断するには、月額コストの比較に留まらず、総支払額(TCO:総保有コスト)の視点を持つ必要があります。

仮に賃料が相場の1.5〜1.7倍と割高であっても、初期投資として回避できる内装工事費や什器備品代を合算すれば、トータルコストが抑制されるケースは多々あります。また、事業開始までのリードタイム短縮による機会損失の回避や、競合に先んじた市場参入という戦略的価値を考慮すれば、賃料の上乗せ分を遥かに上回るリターンが期待できるでしょう。

資金の機動性を最優先し初期投資ゼロを追求するスタートアップか、中長期的な固定費の最適化を重視する安定企業か。自社の成長フェーズと経営資源の配分に基づき、独自の選定基準を持つことが肝要です。

成長フェーズ別!最適なオフィス選択の5つのポイント

企業の成長ステージに最適化されたオフィス戦略は、事業の加速を左右する重要な経営判断となります。スタートアップから安定期に至るまで、各フェーズにおける優先課題を的確に見極めることが、移転成功への最短ルートです。

資金効率、執務環境の質、レイアウトの柔軟性、立地の優位性、そして契約形態の機動力。これら5つの多角的な視点から現状を分析し、貴社の持続的な成長を支える「次なる一手」としての最適なワークスペースを選択していきましょう。

1.スタートアップは資金を事業投資に集中する戦略

スタートアップにとって、キャッシュは極めて希少な経営資源です。創業期から成長加速期においては、限られた資金をプロダクト開発やマーケティング、優秀な人材の獲得といった「事業の中核」へ集中投下することが、競争優位性を確立する決定的な要因となります。

本来、内装工事や什器購入といったオフィス構築に伴う間接支出は、資本効率を低下させ、成長スピードを抑制する要因になりかねません。これらの初期投資を最小化し、浮いた資金を市場シェアの拡大へと振り向けることで、事業のスケールアップをより確実なものにできます。特に資金調達の初期段階においては、初期投資をゼロに近づけられるセットアップオフィスは、資本効率を最大化し、かつ即座にビジネスを始動できる戦略的な選択肢となるでしょう。

2.従業員のモチベーションを左右する職場環境

オフィス環境は、従業員のモチベーション醸成や持続的な企業成長を左右する「経営資源」そのものです。

労働者の約65%が「環境が成果に直結する」と回答し、オフィス満足度が高い社員の約9割が「仕事に面白さを感じている」という調査結果もあります。この数値は、快適な環境が生産性や定着率(リテンション)の向上にいかに寄与するかを雄弁に物語っています。

セットアップオフィスは、貸主側が高いクオリティで空間を構築済みのため、入居初日から理想的なパフォーマンスを発揮できる環境が担保されています。緻密に計算された採光や温度管理、動線設計は、個人の集中力を引き出すとともに、開放的なコラボレーションエリアが部署を越えた偶発的な交流を生み出し、組織の結束を強めます。対して居抜き物件では、前テナントの仕様が自社の文化とミスマッチを起こすリスクがあり、改装が不十分なままでは、かえって従業員の出社意欲やモチベーションを削ぐ懸念がある点に注意が必要です。

3.レイアウト変更の制約をクリアする方法

セットアップオフィスと居抜き物件では、レイアウトのカスタマイズ性とそのアプローチが根本から異なります。

居抜き物件の場合、既存の内装やインフラを承継するため、パーティションの撤去や電気容量の増設が必要な際は、早期に要件を定義し、複数社からの相見積もりを通じて費用相場を精査することが予算管理の要となります。一方、セットアップオフィスは貸主仕様が基本となるため、大幅な造作変更は制限されます。間仕切りの追加等は契約前の交渉が不可欠ですが、対応が困難な場合は「既存レイアウトに自社の業務フローを最適化させる」という逆転の発想も必要です。

いずれの形態でも、将来的な組織変更を見据え、キャスター付き什器の採用や可動式パーティションによる柔軟なゾーニングを導入することで、制約下においても業務効率を最大化する空間運用が可能となります。

4.立地とセキュリティで差がつく企業イメージ

オフィスの立地は、企業のブランドアイデンティティを体現する極めて重要な経営資源です。

セットアップオフィスは、主要駅至近やビジネス街の一等地に展開されるケースが多く、圧倒的なアクセスの利便性を誇ります。これは通勤負担の軽減による「採用力の強化」のみならず、クライアントへの信頼性を視覚的に提示する「ブランド価値の向上」にも直結します。

また、一等地の物件は最新のセキュリティ環境が完備されている点も大きなアドバンテージです。情報資産の保護と従業員の安心感を担保することは、現代の企業価値を左右する不可欠な要素です。立地とセキュリティという二大資産を手に入れることは、営業機会の最大化と強固な組織基盤の構築を同時に成し遂げる、戦略的な投資と言えるでしょう。

5.短期利用から長期契約まで柔軟性を活かすコツ

企業の成長フェーズに呼応した最適な契約形態の選択は、中長期的なコスト最適化と事業加速を両立させる鍵となります。

創業初期のスタートアップ期においては、居抜き物件の活用により初期投資を極小化し、不確実な市場環境下でキャッシュを温存するアプローチが極めて有効です。基本設備を継承することで、什器備品への支出を事業拡大の原動力へと転換できます。

その後、事業が軌道に乗り組織が拡大するフェーズでは、セットアップオフィスへの移行が戦略的な選択肢となります。内装構築の手間を排し、即座にフル稼働できる環境を手に入れることで、成長の鈍化を防ぎ、機動的な組織拡張を実現できるからです。数年スパンでのさらなる拡張を見据える成長企業にとって、この「機動力」こそが最大の資産となります。

契約更新時の交渉を見据えた準備

いずれのオフィス形態を選択する場合でも、事業計画に連動した「契約期間の最適化」が極めて重要です。

創業初期は短期契約を主体として経営の柔軟性(アジリティ)を確保し、事業の安定化とともに長期契約へ移行して賃料交渉の優位性を高める戦略が効果的です。特にセットアップオフィスは、内装設備が貸主資産であるため退去時の原状回復負担が限定的であり、成長に伴う移転を繰り返すフェーズにおいても、財務上のコスト予測が立てやすいという際立った利点があります。出口コストが明確であることは、不透明な経済状況下における強力なリスクマネジメントとなるでしょう。

まとめ

セットアップオフィスと居抜き物件は、それぞれ異なる戦略的メリットを有しており、どちらが正解かは貴社の「今」と「未来」の設計図によって決まります。

短期的な資本効率と圧倒的なスピードを優先するならセットアップオフィスが、ある程度の不確実性を許容しつつ、初期投資の絶対額や独自性を追求するなら居抜き物件が、それぞれ有力な選択肢となるでしょう。事業フェーズ、予算、そして稼働開始のタイミング。これらの条件を多角的に整理し、持続的な成長を支える「真に最適な拠点」を見極めてください。

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SOHOオフィスのファインディング、コンテンツ制作、リーシングを担当。 長野県生まれ。信州大学経済学部卒業後、リクルート、ベンチャーを経て当社へ。趣味は料理、テニス。フルマラソンはサブ4ランナー。不定期開催の社内パーティーでは料理長を務める一面も。

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