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自社ビル売却・移転のメリットとデメリット|税金・手続きまで完全解説

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自社ビル売却・移転のメリットとデメリット|税金・手続きまで完全解説

自社ビルの売却を検討しているものの、「本当に売却すべきか」「売却後の賃料負担は大丈夫か」と迷っていませんか?

実際、働き方改革や不動産市況の変化を受けて、戦略的に自社ビルを売却する企業が増えています。しかし、売却によって得られる資金調達額や固定費削減効果、税金・諸費用の総額、リースバックとの比較など、判断材料が不足していると感じる経営者も少なくありません。

この記事では、当社の事例として飲食コンサル企業が市況を見極めて自社ビルを売却し、採用強化と次の投資機会に備えた実例をはじめ、売却の5つのメリットと3つのデメリット、リースバックとの徹底比較、税金・諸費用の具体的な試算まで解説します。

「本社ビル売却=経営危機」というイメージを払拭し、戦略的な経営判断として自社に最適な選択肢を見極めるための情報をお届けしますので、ぜひ最後までお読みください。

自社ビル売却は戦略的経営判断|飲食コンサル企業の成功事例

自社ビルの売却は、単なる資産処分ではなく、経営戦略の一環として位置づけられる時代になりました。ここでは、当社が専任媒介を担当した飲食コンサル企業の事例を軸に、戦略的な売却判断の実際をご紹介します。

市況を見極めた資産効率化の実例から、売却後に賃貸へ移行して次の購入タイミングを見定める選択肢、さらには岩谷産業などの大手企業による財務構造改革の事例、そして働き方改革が後押しする売却トレンドまで、多角的な視点から解説していきます。

これらの成功事例を通じて、自社ビル売却が経営にもたらす可能性を具体的にイメージできるでしょう。

市況を見極めた資産効率化の実例

2025年に当社はある飲食企画・運営・コンサルティング会社から、10年前に購入してリノベーションした自社ビルの売却依頼をいただきました。

募集時の記事はこちらからご確認ください。

売買物件のご紹介:浅草橋一棟ビル

売却の背景にあったのは、不動産市況の見極めです。当時の市場は10年前と比較して価格が高騰しており、保有資産を現金化する絶好のタイミングでした。

この企業が売却で目指したのは、次の3つです。

  1. 優秀な人材を確保するための採用強化資金の調達
  2. 固定資産税や修繕費などの固定費削減によるキャッシュフロー改善
  3. 次の不動産購入チャンスまで身軽な賃貸体制で経営の柔軟性を確保

売却後は今まで通り自社ビル感覚で利用でき、自由度も高い賃貸の一棟ビルへ移転し、本業に経営資源を集中させました。

賃貸の一棟ビルへの移転も当社でサポートさせて頂きました。売買契約完了後にすぐさま賃貸一棟ビルを探して仲介という流れです。

結果として周辺と比べて坪単価も安く、前のテナントが造作した内装が残った居抜きの一棟ビルをご紹介することができました。

この事例が示すのは、「売却=経営危機」ではなく、市況を見極めた戦略的な資産効率化という視点です。不動産価格が高い時期に売却し、次の購入タイミングを待つ。この判断が、採用強化と財務体質の改善を同時に実現させました。

次の購入タイミングを見極めるための敢えて賃貸という選択肢

自社ビルを売却した後、この企業は賃貸物件へ移転する選択をしました。

なぜ再び購入せず、賃貸を選んだのでしょうか。その理由は、不動産市場の変動を注視しながら、より有利な購入タイミングを見極めるためです。

不動産市況は常に変動します。2025年時点では公示地価が4年連続で上昇しており、高値圏で推移していました。こうした局面で無理に購入するのではなく、あえて賃貸に移行することで次の機会を待つ戦略を取りました。

賃貸移転には以下のメリットがあります。

  1. 初期投資を抑えて資金を事業に集中できる
  2. 市場が調整局面に入った際、素早く購入判断できる
  3. 事業規模に応じた柔軟な拠点変更が可能

市場分析を継続しながら「安く購入できるタイミング」を見極める。この選択は、不動産を単なる固定資産ではなく、経営戦略の一部として捉えた高度な資産運用といえるでしょう。

岩谷産業の本社売却に見る財務構造改革

岩谷産業は2024年3月、東京本社ビルの売却を決議しました。

この決断の背景にあったのは、財務構造改革の一環としての総資産圧縮です。売却によって得られた資金は、業務効率化や社員が働く場所の改善に充てられました。売却後、同社は日本生命浜松町クレアタワーへ移転し、以前よりも駅近で設備面の充実した効率的なオフィス環境を実現しています。

この事例が示すのは、自社ビル売却が「経営危機のサイン」ではなく、むしろ資産効率を高め、事業に集中するための戦略的判断であるということです。大手企業でさえ、時代に合わせて保有資産を見直し、経営資源を本業へ集中させる選択をしています。

企業規模に関わらず、財務基盤の強化や事業再編のために自社ビルを売却する選択肢は、有効な経営戦略の一つでしょう。

働き方改革で加速する自社ビル売却トレンド

テレワークの定着により、自社ビル所有の前提が大きく変わりました。

国土交通省の調査では、雇用型テレワーカーの割合は24.6%に達しています。こうした働き方の変化は、オフィスに実質的な空室を生み出しました。従来は「全社員が毎日出社する」前提でビルを保有していた企業も、今ではスペースを持て余しているケースが少なくありません。

この状況が、自社ビル売却という選択肢を現実的にしています。

固定費を削減しつつ、従業員の柔軟な働き方を支援できる賃貸オフィスへの移転は、もはや経営危機の象徴ではなく、時代に即した戦略的判断なのです。上場企業の中ではPBR是正要請を背景に、自社ビルを売却して資産効率を高める動きも加速しています。

働き方改革は、オフィス戦略そのものを見直す契機となっているのです。

自社ビル売却の5つのメリットと3つのデメリット

自社ビル売却は資金調達や固定費削減といった大きなメリットがある一方で、賃料負担や税金といったデメリットも存在します。ここでは売却によって得られる5つのメリットと、検討すべき3つのデメリットを解説します。

まず資金調達や固定費削減、管理コスト削減などの財務的メリットを整理し、次に2025年の地価上昇局面での売却益最大化の可能性を確認します。その上で移転後の賃料負担、法人税課税、対外的イメージといったデメリットへの対処法を見ていきましょう。

これらを理解することで、自社ビル売却が本当に自社にとって有効な選択肢なのか、冷静に判断できる基準が明確になります。

1.資金調達と事業拡大への投資

自社ビルの売却で得られる資金は、単なる現金化ではなく、事業成長への原資として活用できます。

電通グループは2021年9月、本社ビル売却によって成長領域への投資資金を確保しました。エイベックスも2020年12月に本社ビルを売却し、事業成長投資に充てています。まとまった資金を手にすることで、以下のような戦略的投資が可能になります。

  1. 新規事業の立ち上げや既存事業の拡大
  2. 人材採用の強化や教育研修への投資
  3. 設備投資やデジタル化の推進
  4. 借入金の返済による財務体質の改善

冒頭の飲食コンサル企業の事例では、売却益を採用強化に充てることで、事業拡大の基盤を整えました。建設業法人の事例では、自社ビル売却によって債務を圧縮し、事業の立て直しに成功しています。

売却のタイミングも重要です。2025年度上半期の上場企業28社による不動産売却では、譲渡益総額が前年同期比2.5倍の998億円に達しました。地価上昇局面では、より大きな売却益を確保できる可能性があります。

2.固定費削減とオフバランス化によるROA向上

自社ビルを所有していると、固定資産税や維持管理費、修繕費といった固定費が継続的に発生します。

大規模ビルになれば清掃・警備・修繕だけで年間数千万円規模のコストになるケースも珍しくありません。売却によってこれらの固定費を削減できれば、キャッシュフローは大幅に改善するでしょう。

さらに注目したいのが、オフバランス化によるROA(総資産利益率)の向上効果です。ROAは「当期純利益÷総資産」で算出されるため、貸借対照表から不動産という大きな資産を除外すれば、分母が減少して指標が改善します。

例えば総資産100億円の企業が10億円の不動産を売却すると、ROAは1%から1.11%に向上します。ROAが高まれば企業価値の評価も改善し、金融機関や投資家からの信用力向上にもつながります。

売却益を運転資金として本業に投下できれば、収益性はさらに高まるでしょう。

3.経営資源の本業集中と管理コスト削減

自社ビルの管理には、想像以上に多くの経営資源が消費されています。

設備保守、清掃、警備、修繕といった業務を外部委託すれば、年間で数千万円規模のコストになるケースも珍しくありません。仮に内製化しても、担当者の時間と労力は相当なものです。

売却によってこうした管理業務から解放されれば、その分のリソースを本業へ集中できるようになります。例えば、以下のような業務負担が軽減されます。

  1. 設備の定期点検や法定検査の手配・立会い
  2. 清掃・警備業者との契約管理や品質チェック
  3. 突発的な修繕対応や業者との調整
  4. 固定資産税の申告や各種届出の事務処理

こうした業務から解放された人材や時間を、商品開発やサービス品質の向上、顧客対応の強化に振り向けることができるでしょう。結果として、企業の競争力強化やイノベーション創出につながる可能性が高まります。

4.自然災害・価格変動リスクの回避

自社ビルを所有し続けると、地震や火災などの自然災害による建物損壊リスクを常に抱えることになります。

熊本県では2015年から2019年の5年間だけで、44,732件もの建物被害が発生しています。東日本大震災では、住宅全壊からの再建に平均2,500万円もの費用がかかったという調査結果も出ています。

特に旧耐震基準のビルでは、修繕・再建築コストが想定以上に膨らむ可能性が高いでしょう。

不動産市場の価格変動リスクも見逃せません。オフィス需要の変化や経済情勢によって、保有ビルの資産価値が大きく目減りする可能性があります。

売却によってこれらのリスクから解放されれば、予期せぬ出費に悩まされることもなくなるでしょう。災害リスクの高まりや市況の不透明感が増す今、売却はリスクヘッジとして有効な選択肢になります。

5.2025年地価上昇局面での売却益最大化

2025年の不動産市場は、全国平均で全用途平均が前年比2.7%上昇し、4年連続の上昇となっています。

特に東京圏の商業地は8.2%もの急上昇を記録しており、大阪圏でも6.8%上昇と高い伸びを示しています。このような地価上昇局面では、自社ビルの売却価格も連動して高値で推移する傾向があります。

市況が好調な今だからこそ、売却益を最大化できる絶好のタイミングと言えるでしょう。ただし注意したいのは、政策金利の動向です。2026年には1.0~1.5%への上昇が予測されており、金利上昇は不動産価格の下押し圧力となる可能性があります。また「選ばれるエリア」と「そうでないエリア」の二極化も進んでいます。

売却を検討するなら、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 自社ビルの立地が地価上昇エリアに該当するか確認する
  2. 金利上昇前の有利な市況を活かせるタイミングを見極める
  3. 不動産会社や税理士に相談し、適正価格と税負担を試算する

市場環境は刻々と変化します。専門家の意見を取り入れながら、戦略的に売却時期を判断することが売却益最大化の鍵となります。

デメリット①:移転後の賃料負担発生

自社ビルを売却して賃貸物件に移転すると、毎月の賃料負担が新たに発生します。

東京都心5区のオフィス賃料の平均相場は24,000円/坪(2026年1月)、人気の渋谷区・港区では25,000/坪〜40,000円オーバー/坪のレンジに達しています。

仮に24,000円/坪で100坪のオフィスを借りた場合、年間2,800万円もの賃料負担が継続的に発生する計算です。自社ビル所有時には固定資産税や修繕費が主なコストでしたが、移転後はこれらに加えて賃料という新たな固定費が生まれます。

特にリースバックを選択した場合、賃料は相場より割高に設定されるケースが多く、さらに敷金・礼金・保証料といった初期費用も必要です。長期的に見ると、賃料負担の総額が売却益を上回る可能性もあります。

ただし、売却で得た資金を高利回りの事業投資に回せば、賃料負担を相殺できる場合もあるでしょう。賃料負担とキャッシュフロー全体を総合的にシミュレーションすることが重要です。

デメリット②:売却益への法人税課税

自社ビルの売却で譲渡益が発生すると、その利益に対して法人税が課税されます。譲渡所得は「売却価額-(取得費+譲渡費用)」で計算され、この金額が課税対象となります。

法人税の実効税率は約30~35%(法人税・住民税・事業税を含む)となるため、例えば1億円の売却益が出た場合、約3,000~3,500万円が税金として差し引かれる計算です。個人の不動産売却と異なり、法人の場合は所有期間による税率変動はありません。

ただし、売却益を事業損失と損益通算することで税負担を軽減できる可能性があります。

また、経営力向上計画の認定を受けることで設備投資に対する税優遇を活用したり、中小企業投資促進税制による特別償却や税額控除を適用したりすることも検討できます。売却後の資金使途を事前に計画し、税理士と相談しながら最適な節税対策を講じることが重要です。

デメリット③:対外的イメージダウンへの対処

自社ビルを売却すると「経営が苦しいのでは」という印象を与え、信用力が低下するリスクがあります。

特に金融機関からは資金調達が急務と見なされ、不動産資産を失うことで融資評価が下がる可能性も否定できません。取引先からも業績不振を疑われ、契約関係に影響が出る懸念があります。

ただし、大手企業の事例を見ると、売却は必ずしもネガティブではありません。

電通は汐留本社ビルを売却後も賃借を継続し、テレワーク対応と資産効率化を両立させました。日産は横浜本社ビルを売却して経営再建を進め、ソニーも赤字期に大崎本社を1,111億円で売却して財務を立て直しました。

イメージダウンを防ぐには、次の対応が重要です。

  • 従業員・取引先・金融機関へ「資産効率化」「本業集中」という戦略的意図を事前に丁寧に説明する
  • 売却後も同じビルで事業を継続するリースバック方式を選び、拠点移転の印象を和らげる
  • 売却益の使途を明確にし、成長投資や財務改善の具体的計画を示す

適切なコミュニケーションで、売却を前向きな経営判断として位置づけられます。

リースバックvs通常売却|価格・賃料・契約期間の徹底比較

自社ビルの売却を検討する際、「リースバック」と「通常売却」のどちらを選ぶべきか迷う経営者は少なくありません。ここでは、両者の違いを価格・契約形態・判断基準の3つの観点から比較していきます。

まず売却価格の差として、リースバックは市場価格の60~80%程度になる理由を解説します。次に契約形態と居住期間の違いから、事業継続性への影響を確認します。最後に、資金調達スピードや事業計画に応じた最適な選択肢の判断軸を提示します。

これらを理解することで、冒頭の飲食コンサル企業のように、自社の経営戦略に最適な売却方法を見極められるようになります。

売却価格の差:市場価格の60~80%

リースバックでは、売却価格が市場価格の60~80%程度になるのが一般的です。

この価格差が生まれる理由は、買取業者側の事業構造にあります。買取後も賃貸として貸し出すため、投資利回り5~8%を確保する必要があり、さらに再販時のリスクや維持コストも考慮してディスカウントが適用されるのです。

価格に影響を与える主な要因は以下の通りです。

  • 建物の築年数や状態(修繕履歴、耐震性能など)
  • 設定する賃料水準(高賃料ほど買取価格は下がる傾向)
  • 契約期間や契約形態(定期借家か普通借家か)
  • 立地条件と再販の見込み

つまり、リースバックは「すぐに資金化できる代わりに価格を抑える」という選択肢です。通常売却なら市場価格に近い金額で売れますが、移転が必要になります。

資金調達スピードと事業継続性、どちらを優先するかで判断が分かれるでしょう。

契約形態と居住期間の違い

リースバックは売却と同時に賃貸借契約を結ぶため、所有権が買主に移っても従来通り同じビルで事業を継続できます。

売買契約と賃貸借契約を同時締結し、決済日に所有権移転登記を行った後、すぐに賃借人として居住を開始する流れです。一方、通常売却では所有権移転のみで完結するため、売却後は買主の意向次第となり、移転を余儀なくされるケースがほとんどです。

居住期間の違いも重要なポイントです。

契約形態 売買+賃貸借 売買のみ
売却後の居住 継続可能 原則移転
事業継続性 安定 買主次第

リースバック契約では賃借期間や買戻し特約など、将来的な事業計画に応じた条件設定が可能です。長期的に拠点を維持したい場合は、契約更新の可否や期間を事前に確認しておきましょう。

どちらを選ぶべきか?判断軸

リースバックと通常売却のどちらを選ぶべきかは、経営状況と資金ニーズによって判断が分かれます。

迅速な資金調達と事業継続を両立したい場合は、リースバックが有力な選択肢です。売却資金を獲得しながら移転不要で事業中断を回避できるため、例えば「採用強化に資金を回しつつ、同じ場所で営業を続けたい」というニーズに応えられます。

一方で、売却益を最大化し固定費を抑えたい場合は通常売却が適しています。移転費用は発生しますが、賃料を抑えた立地選択が可能で、長期的なコスト最適化を図れるでしょう。

判断の際は以下の3つの軸を検討してください。

  • 資金調達の緊急度:即座に資金が必要ならリースバック
  • 将来の事業計画:移転や縮小を視野に入れるなら通常売却
  • 賃料負担の許容度:長期的な賃料負担を避けたいなら通常売却

なお、どちらを選ぶにしても不動産会社や税理士など専門家への相談は不可欠です。売却価格の試算や税務影響を正確に把握した上で、自社にとって最適な選択を見極めましょう。

自社ビル売却の流れと税金・諸費用|6ヶ月の実務スケジュール

自社ビルの売却を決断したら、次に気になるのは「いつまでに何をすべきか」「手元にいくら残るのか」という具体的な実務の流れです。ここでは、売却開始から決済完了までの標準的なスケジュール、譲渡所得税をはじめとする税金の計算方法、そして仲介手数料などの諸費用について解説します。

まず売却活動の基本的なステップと各段階にかかる期間を整理し、次に売却益に対する税金の試算方法と節税のポイントを確認します。最後に、実際に発生する諸費用の内訳と総額の目安を具体的に示します。

これらを把握することで、売却後の手取り額を正確に見積もり、資金計画に基づいた確実な意思決定ができるようになるでしょう。

売却の基本的な流れと期間

自社ビルの売却は、準備から決済まで一般的に6ヶ月程度を見込んでおく必要があります。

まず売却目的を明確にし、物件状態をヒアリングする事前準備から始まります。次に不動産会社に査定を依頼し、市場調査を通じて適正な売却価格を設定します。

その後、購入希望者の内覧対応と条件交渉を経て、売買契約を締結します。契約時には重要事項説明と各種書類の添付が必要です。最終段階では決済・引き渡しを行い、所有権移転登記とテナントへの通知を完了させます。

準備すべき主な書類は以下の通りです。

  1. 登記事項証明書(法務局で取得)
  2. 固定資産評価証明書(市町村役場)
  3. 建築確認済証(保管品または施工会社)
  4. 印鑑登録証明書(直近3ヶ月以内)
  5. 地積測量図(法務局または測量士)

各段階で必要な期間を逆算し、余裕を持ったスケジュールを組むことが、スムーズな売却実現の鍵となります。

売却にかかる税金の完全試算

自社ビルを売却する際、手元に残る金額を左右するのが税金です。

売却で発生する主な税金は譲渡所得税で、計算式は「譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)」となります。取得費は購入代金から減価償却費を差し引いた額、譲渡費用は仲介手数料や印紙代などの諸費用です。税率は所有期間によって大きく異なります。

5年以下(短期) 39.63% 所得税30.63%+住民税9%
5年超(長期) 20.315% 所得税15.315%+住民税5%

例えば3,000万円で購入したビルを1億円で売却し、諸費用が300万円なら譲渡所得は6700万円です。長期譲渡の場合、税額は約136万円(6700万円×20.315%)となります。

法人の場合は売却益が法人税の課税対象となり、実効税率は約30%です。また建物部分には消費税10%が課税される点にも注意が必要でしょう。

諸費用の内訳と総額目安

自社ビル売却時に発生する諸費用は、売却価格の4~7%程度を見込んでおく必要があります。

最も大きな負担となるのが仲介手数料で、法定上限は「売却価格×3%+6万円+消費税」です。例えば1億円で売却した場合、仲介手数料は約336万円となります。その他の主な諸費用は以下の通りです。

  1. 印紙税:売買契約書に貼付、1,000万円超5,000万円以下で1万円
  2. 登記費用:抵当権抹消の登録免許税と司法書士報酬で3~5万円
  3. 測量費用:境界確定が必要な場合は50~80万円
  4. 建物解体費用:状況により必要となるケース有り

飲食コンサル企業の事例では、売却価格の約5.2%が諸費用として発生しました。想定外の出費を防ぐため、売却益から差し引かれる総額を事前に正確に把握しておきましょう。

まとめ

自社ビルの売却は、資金調達や固定費削減といった明確なメリットと、賃料負担や税金といったデメリットを正しく理解することが重要です。

売却方法もリースバックと通常売却で価格差が大きく、自社の経営状況に合わせた選択が求められます。税金や諸費用は売却価格の2~3割に達するケースもあるため、事前の試算が欠かせません。

まずは信頼できる不動産会社に相談し、自社に最適な売却戦略を見極めましょう。当社にご相談の場合はこちらからお問い合わせください。

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SOHOオフィスのファインディング、コンテンツ制作、リーシングを担当。 長野県生まれ。信州大学経済学部卒業後、リクルート、ベンチャーを経て当社へ。趣味は料理、テニス。フルマラソンはサブ4ランナー。不定期開催の社内パーティーでは料理長を務める一面も。

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