


── 社長のご経歴について教えてください。
まずバックグランドからお話すると、私は大学院の修士課程まで建築を学び、2004年から2010年までの6年間、中国北京に事務所を構える日本人建築家のもとで働きました。北京オリンピックに向けて経済が急上昇した中国では、日本では考えられないような大規模のデザイン性に富んだ建築プロジェクトに携わることができ、また社会主義国というこれまで未知であった世界で様々な価値観を学んだ事が大きな財産となりました。
その後日本に戻り種々の経験を経て、2017年に現会社であるFTRAを設立しました。
現在弊社で大きく4つの分類に分けられる建築プロジェクトが動いています。1つ目は東京都内の好立地な土地に高効率に建てられる4-5階建のワンルームマンション。次に神奈川の湘南エリア等、郊外に位置する10階を超えるハイライズマンション。そしてコンテナを1つの単位としてそれを組み合わせて建物を構成する新しい工法の建築。最後に、都内や地方の観光地など土地のポテンシャルを生かした宿泊・商業施設です。
どのカテゴリーにおいても、建築が街を構成する要素としてその街の顔となり目印となり、誇れる存在となるようデザインに力を入れています。
取引先は不動産事業会社や投資家が多いのですが、デザイン面とともに狭小地でも高い容積を実現するテクニック等評価を頂き、有り難い事にどの事業者さんからもリピートして発注して頂いてます。
デザイン性と事業性、相反する要素とも捉えられがちですが、我々はそこのバランスを見定め、総合的な建築の価値を上げる事を目標に日々取り組んでいます。
── 業界や貴社としてコロナから変わったことはございますか。
幸いにも、私たちの仕事はコロナ禍による激減はありませんでした。飲食など店舗の設計は世の中からだいぶ減りましたが、住宅のニーズというのは特に変わらず、その割合の多い弊社は影響が少なく済みました。ただ、人々が住宅に求めるものが少し変わったように思います。リモートワークの普及によりワークスペースを伴ったSOHO的な住戸であったり、外出が難しくなったため自宅で映画を見たり食事やお酒を楽しんだり、リラックススペースの充実が求められるようになりました。
我々設計の仕事は外観や内観など見た目の格好良さを追求するだけではなく、社会や時代の変化に応じて変わるべき空間を提案することも醍醐味であると思っています。もちろん世の中は辛い時期ではありましたが、皆がこれまでの当たり前を見直して、新しい価値観を考え、受け入れようとなった事は逆に良かった事だとも思っています。
── 今後の取り組みについて教えてください。
設計事務所は、発注者である事業者からの要望を受けて設計を行うのが一般的ですが、今後は発注者側に立ち、土地をどのように活用するか?どんな用途、規模の建物が建つべきか?プロジェクトを立ち上げる役割を積極的に担っていきたいと考えています。
建築費を抑えれば数字上の利回りは上がるように見えますが、どこにお金をかければデザイン性や建築自体の価値が上がり、ひいてはそれが賃料や集客のアップにつながる。そのバランスを最も理解しているのが建築家であり、その知識や経験をプロジェクト立ち上げの段階で活かした方が良いと思っているからです。
また、先程も申し上げましたが建物は街を作る構成要素の1つです。この街にはどんな建物が相応しいか、どんな刺激を与えられるか、個々の建物の影響を伝播、連鎖させ、将来的には街づくりのような仕事に関わりたいと思っています。
また、少し違う視点ですが、コンテナユニットを用いた建設工法の開発で2021年にグッドデザイン賞を受賞しました。プレファブにより超短工期や省人工を実現するこの工法は、施工者不足や建設費高騰といった現在の問題を解決するものであり、また世界中に船で輸送可能であることから離島や発展途上国への建設支援になること、現場での作業を減らしまた増築減築が容易である事は環境保護にも寄与します。建築をつくる事を通じて、より良い未来や社会へ繋げられたら良いなと思っています。
── 今回のオフィスを探すにあたっての決め手や内装のこだわりはありますか。
借りた当初は4人でだいぶ空間を持て余していたのですが、、現在9人になって事務所らしい雰囲気になってきました笑





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