人が集まるオフィスで海外展開
成長企業に共通するオフィスデザインとは。経営トップにオフィス戦略を伺うインタビュー企画です。
第2回目は、老舗企業のEコマース支援事業を展開するスターマーク株式会社の林正勝社長にお話を伺いました。
林 正勝
スターマーク株式会社 代表取締役
株式会社リクルートで、モバイル新規事業、R25の初年度立ち上げほか事業開発を担当。
2004年に、スターマークの日本法人を立ち上げ、香港法人、ベトナム法人に続き、シンガポールをアジア本社として立ち上げ現職。
スターマーク株式会社は「日本文化の商社」と称して、創業100年以上続くような老舗企業のプロダクトを、海外に流通させる支援事業を展開しているベンチャー企業です。
同社はシンガポールを拠点に事業を展開しており、今回訪問した東京オフィスのほか、ベトナム・香港・京都にもオフィスがあります。
東京オフィスは渋谷のど真ん中、センター街エリアの商業ビルにあります
同社オフィスの最大の特徴、それは本格的なキッチンとカウンターがあることです。
入り口を抜けてすぐバーカウンターが見えるため、一瞬お店と間違えてしまいました。
とてもオフィスとは思えないこの光景について、さっそく林社長にお聞きしました。
「わたしたちのオフィスのコンセプトは ”人が集まるオフィス” です。このオフィスに移転したのもこのキッチンとカウンターが決め手でした」
とのことで、飲食店だった物件を居抜きで借りて、オフィスとしてリノベーションしたということです。
それにしてもかなり本格的です。
落ち着きのあるダークブラウンのテーブルには7席のカウンターチェアがゆとりをもって配置されています。
キッチンには業務用の冷蔵庫と冷凍庫を配備。
最大12ボトルが収容できるワインクーラー。
レンジはさすがに業務用だと使いづらいということで家庭用のものに変えたとのことですが、広くて使いやすそうです。
それにしてもなぜこのようなオフィスにしたのでしょうか。
「ここでは「★STARMARK® lounge」という、いわゆるホームパーティを定期的に開催しています。」
林社長自身が、仕事で海外をまわるようになってから人と会う予定が組みにくくなってきたのがきっかけ。
もともと人が集まるオフィスにしたかったこともあって、定期的に飲み会を開くことで多くの人と会える機会を作ろうと考えられたそうです。
確かにこれだけ本格的な環境だと参加者も楽しく過ごせそうです。
それにしても、オフィスの3分の2ぐらいを占めてるようですが、仕事はどこでされるのでしょうか。
「もちろん執務スペースはありますが、このカウンターでも作業できるようになってるんです」
とテーブルの下を覗くと各席に電源が。従業員が使うことはもちろん、お客さんが来社してそのまま仕事をしていく方も多いのだとか。とても自由です。
オフィスの中央にはスペースに合わせてオリジナルで作られたミーティングエリアがあり、スタッフがすぐに集まって打ち合わせできるようになっています。
キッチンスペースとの位置関係はこのとおり。
離れていてもスピーディ且つオープンに会話できるように、各拠点をビデオチャットで常時接続しています。
皆さん同じMacですが、それだけじゃなくディスプレイやプロジェクタ、Webカメラ、ケーブルに至るまで全て同じものを利用しています。仕様を統一することで業務もスムースに進行するのだとか。
限られたスペースを有効活用できるように、至るところに電源を確保。人の出入りが多いこちらのオフィスは自然とフリーアドレスのシステムが出来上がっているように感じます。
人の出入りが多いということで、オフィスの中央には見事な生け花が飾られています。
次は人が住めるオフィスを作りたい
インタビュー後日「★STARMARK® lounge」にお招きいただき参加させていただきました。
この日も多くの方が来社(来店?)され「★STARMARK® lounge」が始まりました。
お料理はお客さんも含めて毎回持ち回りで担当。決められた予算の中でテーマにそった料理をふるまう仕組みになっています。
日中はミーティングで使われているこちらのエリアも会場に。ここで新しい出会いが生まれ、ビジネスに発展します。
「★STARMARK® lounge」の特徴は ”ゆるいつながり” と林社長は言います。
「これがきっかけで仕事につながる人もいるけど、そうじゃない人も多くいる。それで全然構わない。お客さん同士がつながってくれるのが一番嬉しくて、後になってそういえばこれがきっかけだったよねと思い出してくれて、また来てくれる。それがウチの財産になっている。」
そんな思いで続けること7年間、もうすぐ400回目を迎えます。
ベトナムオフィスの写真
林社長のオフィス構想はさらに広がります。
「今後は”人が住めるオフィス”を作りたいです。スタッフの家とオフィスが同じビルに同居するような、いわゆる職住近接を実現したい。ベトナムオフィスはすでに3人が住めるようになってます。」
職住近接というのはその名のとおり、職場の近くに居住を構えること(またはその逆)。混雑通勤を避け、時間に縛られることなく働くことができ、プライベートや家族との時間も増える、そんなワークライフバランスを会社としてサポートしていくも、今後の成長企業のキーワードになりそうです。