川村剛弘(写真家)
日本橋小伝馬町に新しく出来たフォトスタジオ【studio SEA(スタジオシー)】。
このスタジオシーを運営するクリエイティブアイズ代表の川村剛弘氏に話を聞いた。

写真家 川村剛弘 Takehiro Kawamura
1972年神奈川県生まれ。写真家。ディベロッパーの営業部長兼インハウスデザイナーを経て、デザイン制作・スチル撮影を手掛けるクリエイティブアイズを発足。
現在は写真家としての活動の他、TimeShareStudio事業や、日本橋小伝馬町のフォトスタジオ「studio SEA」を運営。
「studio SEA」
―――「studio SEA(スタジオシー)」のコンセプトを教えて下さい。
このスタジオは震災の1週間前の3月3日にオープンしました。名前の由来は「海」です。
僕は毎月、スキューバダイビングをするのですが、海の中ではいつまでも居たいと感じています。エアーの続く限り。
このスペースも、来てくれた人達がいつまでもここにいたいという空間になれば、という思いで名付けました。
スタジオは1時間単位のレンタルスペースにしています。僕自身がカメラを教えたり、イベントスペースとしても使えるようにしています。

Ⓒ Takehiro Kawamura
―――ご自身でも教えているんですね。カメラを始める方へアドバイスをお願いします。
自分の作品に込めた「想い」。これに上手い下手や、プロの方、素人の方に大きな差は無いと思うんです。
僕は子供に写真を教える時に、「シャッターっていうのはね、感動した時にだけ押すんだよ」と教えています。
「感動していない時にシャッターを押すと、カメラは壊れるんだよ」と(笑)
そうすると子供って「嘘だ~」って言いながらも押さないんです。その子供たちが感動した時にシャッターを押す。その写真って感性に溢れた素晴らしい写真になるんです。
子供の目線って、大人と違って物理的に低いじゃないですか。
大人の目線で撮る夕日の写真も、子供たちの目線だとその夕日に草木が入ったり。子供の目線から見た「見上げた大人」というのも面白い。
感性=構図だと思うんです。カメラって技術だけでは無いんですよ。
大人になっても子供の感性を忘れないって大事なことだと思います。
―――【SOHO東京】でクリエイター向けのオフィスを紹介していると、小伝馬町や岩本町に多くのクリエイターが集まっていると感じます。
いろんなクリエイターが集まっているエリアだと実感しています。アクセスもいいし、クリエイターのネットワークもあって、これからはもっと人気が出てくるエリアになると思います。
『HOPE』ism
―――今回の東日本大震災で被災された方へ向けた『HOPE』というコミュニティーが広がりを見せているそうですね。
写真って自己満足的なところがあるじゃないですか。その公開する場がブログだったり、コンテストだったり個展を開いたりすると思うんですが、評価してもらいたい気持ちはあると思うんです。
それが自己満足だけでは無くて、自分の写真が何かに貢献したいという気持ちを持つ人に受け入れられたことが、この『HOPE』というコミュニティが広がっている要因になっていると思います。そういった何か貢献したいという「想い」を伝えたい人が集まってくれています。
それが自己満足だけでは無くて、自分の写真が何かに貢献したいという気持ちを持つ人に受け入れられたことが、この『HOPE』というコミュニティが広がっている要因になっていると思います。そういった何か貢献したいという「想い」を伝えたい人が集まってくれています。
今回の震災で被災して仕事が出来ない人はともかく、東京にいて仕事があるのにそれを理由に働かない人、写真が趣味の人が写真を撮らないって言うのは違うと思う。
実際に被災地では多くの方が職を失っているという現状がありますが、東京の過剰な自粛ムードは何か違うと思っています。本当に被災地、被災した方を思うのであれば、日本の経済を支え、支援しなければならないのは、東京を含めた被災地以外の人のはずです。
3月3日にこのスタジオがオープンして1週間後に震災が起きました。
被災地に対して出来る事は何か。僕が出来る事はカメラだけど、1人で出来る事は限られている。そう考えて有志と集まり「写真で繋がるライフライン」というイベントを開きました。
その時に少しでも被災地の方を、その心を癒す事が出来ないか、またそれ以外に人達には元気を与えられないか話し合いました。
そして、「希望を写真で与えたい」という想いでいろんな方の写真を集めるサイトを作りました。それが『HOPE』の始まりです。
同時に救援物資を被災地に送ったり、僕の写真のポストカード5000枚の売上の全てを寄付することにしました。
実は昨年、娘の白血病が発覚しいろんな方に大変お世話になったんですね。僕自身も深く悩みノイローゼ気味になっていましたから。
その時に「大丈夫。これは打ち勝てる人に与えられた使命なんです。」と同じ病気のお子さんを育てられた方から励ましの言葉をもらいました。
いろんな人に心配をかけたし、また応援をしてもらった。それが精神的に大きな支えになって娘も退院出来たんです。
今回の震災で一瞬にして多くの人が大事な人を失った。
そのニュースを見て、今度は自分が何かをしなければという衝動に駆られました。
そんな気持ちを共有した仲間が集まり、コミュニティが出来ました。名前は希望を意味するHOPE。相当な救援物資もすぐに集まりました。その救援物資の一部をHOPEの文字に並べて、その想いを写真として残しました。
サイトには自分の写真が何かの役に立つのであればという、心温かい人たちがすぐに賛同して集まりました。
―――現地の逞しく元気に頑張ってる人達の写真を見たら、自粛モードの東京の人たちの元気の素になりますね。
はい。東京にいる人が一緒になって落ち込んでいる場合ではありません。
身内が被災したりして仕事が手につかないという人や、カメラを置いてしまった人、知らず知らずのうちに子供に当たってしまっていた人などから、『HOPE』ismによって自分たちが頑張らなければと気付いた、そんなメッセージをたくさん頂きました。
このままじゃいけないんだって、私だけじゃないんだって感じて頂けたようです。
今を頑張ろうという想いを持つ人達が集まって、写真を通じたコミュニティになり、お互いが頑張って希望に繋がればと思っています。
(2011年4月 studio SEAにて)
株式会社クリエイティブアイズ http://www.creative-eyes.jp
studio SEA http://www.studiosea.co.jp
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